投資信託を知ろう!~為替ヘッジ編~

更新日:9月23日


投資をはじめる前に『知る』シリーズです。


投資信託の中には「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」を選べるものがあります。

今回は為替ヘッジあり・なしについてみていきたいと思います。


為替ヘッジとは、海外資産で運用を行う際に為替の変動を回避(ヘッジ)する手段のことです。


海外の株式や債券で運用し、せっかく価格が上昇しても為替変動によって為替差損が出て基準価格にマイナスの影響が出てしまうということがあります。(逆のパターンもあります。)為替ヘッジを行うことにより将来の為替変動リスクを低減できます。


為替ヘッジは一般的に「為替予約」という方法が用いられます。これは将来の換金時における為替レートを 同じ水準に確定することにより、運用から為替変動の影響を取り除く仕組みです。ヘッジコストは、理論的には「外貨の短期金利と日本円の短期金利の差」となります。しかし、 各通貨の見通しや需給などの状況によっては、外貨の調達に対する上乗せ金利(ベーシス)が発生し、為替ヘッジコストは短期金利の差と乖離します。

日本は長い間低金利政策を続けている為、投資先の国のほとんどが日本の短期金利より高い場合が多かったですが、最近では欧州の金利が日本の金利を下回っているので、欧州マイナスのヘッジコストとなります。


例えば、資源国通貨として人気のあるオーストラリアの国券に投資したとしましょう。


為替予約の適用金利には、短期金利が使われます。わかりやすいように政策金利でお話しすると、2015年10月21日現在の政策金利は日本が▲0.10%、オーストラリアが0.10%です。


「1豪ドル=80円」の時、一年後に「1豪ドル=80円」でオーストラリア国債を円に買い戻す為替予約をしたとします。


日本の金利は、▲0.1%ですので一年後には79.92円となり、オーストラリアの金利は0.1%ですので、1.001豪ドルに増えていることになります。一年後の換金の時には、79.92÷1.001=79.91円しか戻ってこないことになりますので、約0.09円分が為替ヘッジコストとしてかかります。


このように、為替ヘッジにあたっては基本的に2国間の短期金利差がコストとして生じるため、とくに海外の国債など安定資産に投資して為替ヘッジをおこなうと、結果として日本の国債に投資したのとほぼ同じ運用成果になるのが一般的です。現在、オーストラリア10年国債の利回りはおおむね1.3%ですが、そこから日本と豪州の短期金利差に相当する0.2%を差し引くと、残るのは1.1%となり為替の影響を受けずに利回りを享受できます。


最近では、先進国の多くが低金利政策を実施している為、ヘッジコストがほとんどかからないという状況が続いています。冒頭にもありますが欧州にいたっては日本の金利を下回っているので、為替ヘッジをすることによりマイナスヘッジコスト(プラス影響)になることもあります。


米国の政策金利は0.00~0.25%ですので、日本と米国の短期金利差は小さくなっています。そのため米国株はもちろん、米国のハイ・イールド債(低格付け社債)などに投資して為替ヘッジをおこなえば、相対的に高い利回りを丸ごと享受することが可能です。


「通貨選択型ファンド」においても、これを応用したような仕組みが使われています。通貨選択型ファンドは、最初に米ドル建てでハイ・イールド債や新興国債券などに投資し(米ドル買い・円売り)、さらに為替予約を用いて通貨を米ドルから他の高金利通貨に切り替える(米ドル売り・他通貨買い)仕組みです。その際、多くのファンドでは切り替え先の通貨として円も用意しており、実際に円を選ぶ投資家もいるようです。円を選んだ場合は「米ドル売り・円買い」となるため、事実上、コストゼロで為替ヘッジをおこなったと同じことになります。また、米国株式型ファンドでは為替ヘッジをおこなうことにより純粋な値上がりを享受することも可能です。こうした為替ヘッジの活用法は、あくまでも米国の短期金利が歴史的に低いことが前提であり、この先、米国が出口戦略として利上げに動けばメリットは消えてしまいます。​


各国の金利状況に応じて、為替ヘッジを活用することも投資の選択肢のひとつになります。