【スマホから始まる親子の終活】その4~電子マネーって相続できるの?~
FP Officeの 宮本 誠之と申します。
FPとして、様々な世代の要望に応えるべく、日々情報収集をしております。
そんな中で私が興味を持ったもので、これを読んでいただいた方の将来に役に立つかな、という情報をこれからお届けしていこうと思っています。
【デジタル遺品の探しかた・しまいかた、残しかた+隠しかた】〈1〉
という本を読んでいます。
前回に続きます。
(前回の記事はこちら→【スマホから始まる親子の終活】その3)
キャッシュレス決済時代到来により、諸国に遅れを取りつつも、日本でも電子決済が年々増加しています。
この文章をお読みの方も、なんらかの電子マネーを日常的に利用している方も多いのではないでしょうか。(ちなみに筆者は通勤・客先訪問の際には、オートチャージされたモバイルSuicaを使っております。)
前回まで「スマホから始まる親子の終活」というタイトルで、デジタル遺産にまつわる話をしてきました。
今回、さらに具体論に踏み込み、【電子マネーの契約者・利用者が亡くなった際に、電子マネーは相続できるのか?】について考察したいと思います。
電子マネーとは、【お金の価値をデータ化し、カードやスマホでの支払い等の機能を持たせたもの】を言います。
代表的なものとして、
交通系ICカード
(SuicaやPASMOなど)
小売系ICカード
(nanacoやWAONなど)
Payサービス
(PayPay、LINEPay、楽天ペイ、メルペイなど)
があります。
そして、電子マネーの支払方式にも
【プリペイド型】
【ポストペイ型】
【即時支払型】
など、いくつか種類があります。
まず、ポストペイ型の場合は、カード会社から後日支払の請求がくるため、“チャージした残高”はありません。
(iDやQUICPayなど)
同様に、即時支払型のデビットも、決済と同時に銀行から直接引き落とされるので、“チャージした残高”はありません。
(VISAデビットや、銀行系など)
プリペイド型は、事前にICカードやアプリに現金チャージして、その分を使用できる仕組みになっています。
なので、相続で問題となるのは
【プリペイド型】の電子マネーです。
つまり、ある人が現金を電子マネーにチャージした後に亡くなった場合、既にチャージしたプリペイド残高は相続可能か?が問題となります。
※ちなみに、Payサービスは、大抵プリペイド方式とポストペイ方式を選択可能ですので、相続の検討の際には注意が必要です。
これ、実は、【法律上の明確なルールは定まっていない】ということです。
デジタル遺産に関する取り扱いは、まだまだ発展途上ですね。
なので、実際に相続できるかどうかは、各サービス提供者との契約・利用規約によることになります。
さらに、明確な規定がない場合もありますので、各社の会員規約を確認して、個別検討しなければなりません。
例えば、現時点では、(株)セブン&アイ・ホールディングスのnanacoカードは、規約上、【利用者の死亡時には残高が失効、現金による払い戻しも非対応】とされています。
nanaco会員規約https://entry.nanaco-net.jp/entry_all/web_agr.html
また、CM等でも有名な「PayPay(ペイペイ)」も、以前は【利用者が亡くなると、残高は失効する】としていましたが、規約が改定され、チャージ残高を相続することが可能になりました。
PayPay残高利用規約https://about.paypay.ne.jp/terms/consumer/rule/balance/
また、規約上、残高は失効する旨定められていたとしても、相続人の個別問い合わせにより払戻しに応じてくれる場合もあります。
最新の情報は各社のページを参照の上、念のため、直接運営主体に問い合わせてみることをオススメします。
また、問い合わせの前提として、
・生前、どんなキャッシュレスサービス、電子マネーを利用していたのか?
これを把握していることが必要となります。
終活を考える方は、エンディングノートなどに利用状況を遺しておくことも大事ですし、前回のスマホの相続の話題に沿って、子の立場からも、親御さんにスマホの使い方に関して教えてあげられることも多くあるはずですので、何かのきっかけにしてコミュニケーションを起こして、相談に乗ってあげてください。
このようなわたしの身の回りの日常から得た体験でも、ご参考になれば幸いです。この本、さらに読み進めておりますので、少ししたらまた続きを書こうと思います。
〈参考文献〉
〈1〉伊勢田篤史・古田雄介,"デジタル遺品の探しかた・しまいかた、残しかた+隠しかた"
,日本加除出版,2021年10月,204頁,978-4-8178-4754-6
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